豊田市の水源公園はご存知でしょうか?毎年春の桜が有名で、特にライトアップでは矢作川の水門によってせき止められた川面に桜のピンクが映える幻想的なスポットです。
その矢作川の底が抜けました。文字通り…
豊田市が全国ネットのニュースになることはあまりないのですが、矢作川の川底が漏水し、明治用水に給水できなくなったということで、5月18日の正午のNHKニュースでは国内のトップニュースとして取り上げられていました。
そもそも矢作川の水門は明治用水の頭首工のために築造されたもので、ここから取水し安城、豊田、知立など8市におよぶ広大な地域に水を供給しています。今回のニュースをきっかけにもう少し知りたいと思い、明治用水について調べてみました。
江戸時代後期に水に恵まれず荒野だった安城が原(現在の安城市周辺)に越戸(豊田市)から水を引く計画を立てたことが始まりだそうです。しかし農民の反対などにより遅れ、明治になってようやく許可がおり、明治13年に完成しました。明治用水の完成によって水が確保できた安城の農業は目覚しい発展を遂げ、今日では「日本のデンマーク」と呼ばれる優良農業地帯となっています。完成から140年以上各地に水を供給し、農業用水だけでなく、自動車産業の盛んな西三河の130以上の事業所にも工業用水を供給しており、愛知県の農工業に欠かせない最重要施設ということがわかりました。また、平成28年には、旧頭首工の人造石を使った堰堤や、官民連帯および農家の自主的な維持管理の卓越した例であることが認められ、世界かんがい施設遺産に登録されています。
現在の頭首工は昭和33年に完成したもので、その後昭和59年に補修工事、平成24年からは耐震化工事がおこなわれています。今回の漏水は水門の上流の溜まった水の水圧により川底から浸水した水が土を押し出して地表に湧き出るパイピングが原因と考えられていますが、詳しいことは今のところ不明だそうです。
現在、施設を管理する東海農政局では、仮設ポンプを設置するなど応急措置を講じていますが、工業用水で30%程度、農業用水は取水不能という状況ということで、田植えを控え心配な状況が続いています。(5月25日から一部の農地に試験的に供給を開始しましたが、その後の雨で中止されるなど不安定です)
これほどの大規模な漏水が突貫工事で修復できるとは思えないですが、なんとか早期に復旧してほしいと思います。
なんでもそうですが、「あって当然」、「使えるのが当たり前」というものが、いざ使用できなくなるとその影響の大きさに驚かされます。住宅でも給湯器やコンロ・エアコンなど急に使えなくなると大変ですね。特に最近は部品の供給が滞っており、注文しても数ヶ月入荷しない状況となっています。まだ故障してなくても設置後10年以上経過した設備は点検や、年式によっては省エネ性能も向上していますので交換もご検討されてはいかがでしょうか。