少し前ですが、冬眠を控えたクマに住民が襲われる事件がニュースとなりました。北海道では大型のヒグマによるものですが、本州でもツキノワグマによる被害が報道されています。その多くは東北地方ですが、中部地方でも長野県や岐阜県ではかなりの頻度で目撃情報が発表され、時には人身被害も報告されています。
私たちの豊田市はどうでしょうか?岐阜県の恵那市や土岐市といった豊田市の隣接地で目撃されるくらいなのでいないということはないと思います。
愛知県のHPに「あいちの環境」というページがあり、その中でツキノワグマに関する情報が掲載されています。令和4年の資料によると愛知県内のクマ目撃情報は19件、そのうち豊田市山間部のものが15件と大半を占めています。今年もすでに18件あり、豊田市では5件が報告されています。うち1件は岐阜県境側ではなく旧下山村という、どちらかといえば愛知県の真ん中あたりという場所での目撃例です。同一か別の個体なのか不明ですが、豊田市にも確実に棲息していると考えられます。
私たちも仕事で山間地に行くことがありますが、シカの足跡やイノシシが地面を掘った跡を見つけることは珍しくない地域ですので、一人で現場の確認に行く時は少し怖い感じがします。
以前物件調査の際に野生のシカと遭遇しました。すぐに車の中に避難しましたが、シカでも結構緊張しました。
クマは国内では最強の猛獣ですので遭遇してしまった場合はそれなりの覚悟が必要となります。ですからできればクマに出会わないようにしなければなりません。それにはクマの棲息地域に立ち入る際の準備や注意、また、山間部に住む人が危険な目に遭わないような対策を講じることが大切です。
1.エサとなる食物を無造作に持ち込まない、生ゴミは持ち帰る。
2.山に立ち入る際には鈴やラジオなど音を出すものを身につけ、クマの方が近づいてこないようにする。
3.人里では果実や農作物の適切な管理や廃棄野菜などの生ゴミを家の近くに置かない。
4.ゴミ出しのルールの徹底。
クマは本来臆病な動物で、人の存在に気づけば逃げてしまうことが多いそうです。クマにとってのメリットを生じさせないことでクマと遭遇する確率を減らすことができます。特に山間部の空き家の庭で、柿の木などを放置しておくとそこにエサがあると気がついてしまうので、管理できない果樹は伐採しておいた方が良いです。ちなみにクマよけのスプレーは相当近くで使用しなければ効果が期待できないそうです。
ツキノワグマは愛知県では絶滅危惧IAにランクされ、ごく近い将来、野生で絶滅する危険性が極めて高い種とされていますので、保護と共生を図る必要があります。「豊田市にクマはいる」という前提の元、私たちの生活圏を守ることとクマの生活圏を守ることは両立可能なこととして豊かな自然を維持していきたいものです。
HP あいちの環境
リーフレット (PDF)
人とツキノワグマの共生に向けて(PDF)