「何の話?」って思われたかもしれませんが、2月4日に行われた豊田市長選挙のことです。
でも市長選って4年ごとにあるじゃん!
その通りですが、実は豊田市では長らく自民系、労組系と政財界や各種団体でつくる市長の支援組織「21世紀の豊かなまちをつくる会」が、政党色のない元市職員を擁立する協調路線で選挙を行ってきました。これにより他の候補者に出馬の隙を与えず、仮に対立候補が出馬しても圧倒的な組織力で勝負にならない無風選挙でした。
ところが今回は、現職が従来の「市長は3期まで」という慣例を破り4選を目指したことからこの支援組織内で意見が統一できず、4期目を目指す現職と豊田市を選挙区にもつ県議が対立候補として出馬する一騎打ちとなりました。
60年ぶりというのは、候補者を組織であらかじめ一本化し、強力な対立候補が出馬できない状況での「出来レース」の選挙ではない、という意味です。これは言い換えれば、有権者である市民が、どちらの候補者がより豊田市の発展や市民の暮らしに良いかを考えて投票するという、現在80歳以上の方しか経験していない機会が与えられたと言えます。
豊田市長選の投票率は回を重ねるごとに低下し、前々回は47.76%、前回は36.56%と低迷しており、隣の岡崎市が前々回54.70%、前回57.25%であったことと比べてもかなり低く、市民が密室化した候補者選定に白けて無関心になったことの現れに思えます。今回の候補者は、現職は3期12年の実績と次世代への引き継ぎを、一方新人は若さと改革、県議としての成果を掲げての選挙戦で、有権者にとってもしっかり考えて意思表示する選挙だったと思います。
結果はもちろんのこと、投票率が50%に届くかどうかにも注目された選挙でしたが、実際の投票率は46.31%でしたので、残念ながら前々回にも及びませんでした。結果は現職が77,107票、新人が74,796票と僅差の争いでした。現職を推薦する労組系がかなり力を入れたことと新人が自民系の支援を完全に掌握できなかったことがこの差になったように思います。
ともあれ、今後4年間、現職が引き続き市政の舵取りを行うこととなりましたので、市としての方向性は大きくは変わらないこととなります。ただし、議会との関係では、ほぼオール与党であったものが、自民系議員はやや距離を置くこととなると思われますので、議会運営では丁寧な説明が求められ、場合によっては施策の修正や変更もあるかも知れません。市民にとっては議会のチェック機能が働くなど、より健全な行政が実現することとなりますので、個人的には歓迎すべき変化となると考えています。
太田市長、よろしくお願いします!