令和6年(2024年)7月3日にお札のデザインが変わります。
理由は様々ですが、重要なのは偽造防止と認識しやすさだそうです。我々は労務を提供して報酬を得ることで生活が成り立っています。生産者の方は生産したものを売ることで対価を得ています。その報酬や対価であるお金が偽造されてしまうとお金を信用してモノやサービスを売ったり買ったりできなくなってしまいます。また、目の不自由な方や外国人にも判別しやすいデザインが求められることからより偽造しにくく、且つ誰にもわかりやすいユニバーサルデザインを取り入れた新紙幣に変更されることとなりました。
偽造防止技術としては世界初の3Dホログラムや高精細すき入れという新技術、深凹版印刷やマイクロ文字、特殊インクなどが採用されています。またユニバーサルデザインとしては、アラビア文字で大きくした額面数字、識別マークを指感性に優れた形状で統一しています。
お札に描かれる人物も変更されます。採用される肖像画は現在のお札と同様、近代日本の発展に尽くした人物で、1万円札が福沢諭吉から渋沢栄一と社会や経済産業分野、5千円札が樋口一葉から津田梅子と文化や教育分野、千円札が野口英世から北里柴三郎と医学分野とそれぞれ踏襲しています。こうしてみると日本のお札の肖像はユニークです。
・1万円札
・5千円札
・一千円札
年がばれますが、昔私が子供の頃は聖徳太子と伊藤博文でどちらも日本の成り立ちや政治に関する分野の人物でした。お金はその国を象徴する人物や景色をデザインに取り入れることが多く、アメリカではジョージ・ワシントンやリンカーン、ベンジャミン・フランクリン、中国は毛沢東、タイは国王、などやはり国の創立や政治に関する人物が多いようです。
新紙幣の発行による経済効果はどうでしょうか?弊社でも駐車場の精算機を改修しましたが、デザインが変わることで自動販売機、ATM、セルフレジなどの改修が必要となります。機械を保有する側は負担となりますが、今回の紙幣変更・改修費用等で約1兆6,300億円、名目GDPを+0.27%程度押し上げる効果が見込まれるそうです。一方でタンス預金のあぶり出しやキャッシュレス化の促進効果は小さいそうです。(参考【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】)
「金は天下の回りもの」「お金は経済活動の血液」と言われるように、お金が社会の隅々に行き渡ることにより、モノやサービスといった「価値」をお金に換算することで、その「価値」の保存や交換がスムーズにできるようになります。現実には受け取りや支払うお金に新旧のお札が混じることで少しの間混乱するかもしれませんが、我が国の紙幣発行は1885年以来139年の歴史があり、今まで発行された紙幣は53種類あります。そのうち22種類が現在も有効で使用可能です。(もっとも紙幣によっては額面よりも骨董的な希少価値の方がありますね。)一部では旧紙幣が使用できなくなるといった偽情報が出ているそうですが、デマに踊らされることなく社会の信用や経済活動の安定にも新紙幣の発行は必要かつ重要なこととして、新紙幣を手にすることを楽しみにしています。